【悪夢十夜】雨曇りの街(2022/03/18放送分)

アイキャッチ

 やあこんばんは。ここ数ヶ月、めっきり悪夢なぞ見なくなってしまって淋しささえ感じているのだけれど、その代わりに今はもう消えてしまった過去放送分ラジオのテキストアーカイブとして、当時の夢日記を書き留めていこうと思う。詳しくは前回の記事を参照してほしい。

  それでは早速始めよう。じっとりとした夏の夕暮れ時を思い浮かべてもらえると都合がいい。


雨曇りの街(2022/03/18放送分)

 こんな夢を見た。
 今にも雨が降りそうな曇天の、しかも夕暮れ時に、僕は海沿いの工業地帯を足早に歩いている。知らない土地であった。地図も土地勘もないままに、遥か遠くに見える背の高いビルを目指してただ歩を進めていた。

 此処はただ静かで、道ゆく人も見当たらず、不気味である。
 歩いても歩いても、目指す背の高いビルは近づいてこない。湿っぽい夏の匂いが色濃くなり、心だけが逸る。
 薄暗い団地の入り口に差し掛かった時、不意に「ちょっとキミ」、と言う声に呼び止められた。驚いて声のしたほうに目をやると、草木に紛れるようにプレハブ小屋が建っていて、その中に収まった中年の男がじっ、とこちらを睨め付けている。警備員か何からしい。
 「先に進むなら居住証を見せてくれなきゃ」
 「持ってないです。でも――ここを通りたくって」
 言いながら例の背の高いビルを指差すと、男は少し首を傾げて「ああ」と低く言ってから、
 「ここからは向う岸には渡れないよ。団地の先は水路になっているからね」と素気なく言った。
 僕が何か言おうとして口を開くより先に、ざあ、と堰を切るように雨が降り始めた。
 振り向くと男は消えていて、元来た道には無数の飛蝗が死んでいた。雨粒に濡れて、もう動かないくせにぎらぎらと光った。

 当時はラジオで読み上げられる尺にまとめるために、ある程度細かいところは省きながらメモを取っていたのだけれど、知らない団地の不気味さや雨催いの焦燥感、目的地にたどり着けない絶望感みたいなものをわりと生々しく覚えている。ずいぶんと回りくどい悪夢を見たものだ……。

今回のアイキャッチイラスト

picture
DALL-E2が考える“雨曇りの街”
使ったAI

 DALL-E2:https://openai.com/dall-e-2/

 前回に引き続き、今回もDALL-E2にアイキャッチを考えてもらいました。

An expressive oil painting  of a industrial area by the sea with tall buildings in the distance, dull (cloudy) weather evening

 ↑プロンプトはこんなかんじ。イイ感じの団地を出すのは難しそうだったから、工業地帯の方を描いてもらった。右端に謎の小屋みたいなものも生まれていて、なかなか再現性が高い。AIは賢いね。

 それじゃ終わり。

 またどこかでお会いしましょう。