【悪夢十夜】62階(2022/04/08放送分)

アイキャッチ

 やあこんばんは。もうすでに一年も経ってしまっている話なのだけれど、今はもう消えてしまった過去放送分ラジオのテキストアーカイブとして、当時の夢日記を書き留めていこうと思う。詳しくは初回の記事を参照してほしい。

  それでは早速始めよう。


62階(2022/04/08放送分)

 こんな夢を見た。
 此処はどうやら地下三階らしい。手に美術画廊のチケットを握り、お世辞にも綺麗とは言えない寂れた商業ビルにいる。会場は62階と書き記してあるのだが、エレベーターが一向に見つからない。
 ――此処はどうにも狭苦しい。
 フロア一帯が飲食店街のくせ異様に暗く、それぞれの店舗看板と中から漏れる光だけが頼りだった。そういうわけで苦心して館内案内図を見つけると、エレベーターに乗るには大きな中華料理店の中を通り抜ける必要があるらしかった。

 給仕の女に睨まれながらなんとか店を抜け、ようやくエレベーターに乗り込んだ。かなり古ぼけていて、黄ばんだ蛍光灯がパチパチと音を立てている。僕以外に乗客はいない。
 エレベーターはゴオ、と大きな音を立てて動いている。動いているのだが、62階につく気配がない。不安になって足元を見下ろすと、床面に敷かれた黒ずんだ絨毯の端がめくれ、轟音によって震えているのが見てとれた。
 視線を戻そうとして、ふと自分の両手が空っぽであることに気づく。大事に握り込んでいたチケットがない。どこを弄っても見当たらない。

 成程、じゃあもう辿り着くことはないんだな。そう思った途端に、エレベーターが昇っているのか落ちているのかわからなくなった。

 一年前の夢とは言え、こうして夢日記を読み返してみると鮮やかに光景が蘇ってくる。古い油と埃の混じったような臭いと、厭な焦燥感と一緒に。

今回のアイキャッチイラスト

picture
DALL-E2による“エレベーター”
使ったAI

 DALL-E2:https://openai.com/dall-e-2/

 今回もDALL-E2にアイキャッチを考えてもらいました。

a internal small, dark, old elevator

 ↑シンプルプロンプト。日本の古い商業ビルにあるようなエレベーターは出せないだろうなあということで、当たり障りのない感じのものにした。

 それじゃ終わり。

 またどこかでお会いしましょう。